過去のトピックス
自動車を運転していて、どこからか「ピ~ポ~ピ~ポ~」と救急車のサイレン音。
サイレン音は聞こえているが、どこから来ているのかわからない。後ろから来ているのであれば道をゆずらないといけないし、交差点の横から来ているのかも。ましては高架道路の下などを走っている時などはなおさらで、赤色灯の光が見えてはじめてわかった。 これは一般車のドライバーにとってはたびたび経験する事ですが、これが緊急車に進路をゆずる動作の遅れにつながり、緊急車にとっては現場到着の遅れや、あるいは緊急車と一般車の衝突事故のような深刻な事態を招くおそれがあります。 この場合、サイレンの音は聞こえているのだから、いくらサイレンの音を大きくしても緊急車の在所確認については効果があまり見込めません。
この問題は日本だけではなく諸外国でも注目されており、サイレンや警報音の在所確認について、神経物理学や音響心理学など、様々な面から研究されていますが、このたび、イギリスの大学と開発会社でまさにこの技術が確立され、「在所確認警報音」が完成しました。これは、人間の耳や脳、神経が処理する音源位置認識の能力と、警報音の周波数成分を綿密に研究されたもので、その効果も各種シュミレーションテストや路上トライアルで評価されています。
大阪サイレンでは、この「在所確認警報音」の電子サイレンへの取り込みを研究しています。これにより一般車のドライバーや歩行者が緊急車の在所をより早く認識でき、安全を確保できると同時に、緊急車の進路確保がより円滑に行えることにより、現場到着に要する時間を大幅に短縮することができるものを期待されています。
救急車のサイレンといえば誰もが「ピ~ポ~・ピ~ポ~」という音を連想します。しかし、昭和45年(日本万国博覧会があった年)以前は救急車も消防車と同じ「ウ~・ウ~」という音のサイレンを鳴らしていました。当社では「消防車もパトカーも患者を乗せる救急車も同じサイレンで良いのだろうか?」という疑問を持っていました。 昭和40年代はじめに、当社現会長・上岡淑男がフランスで耳にした救急車のエアホーンによる警報音をヒントに新しい救急車用サイレンの開発を開始しました。研究を重ね、試作機を神戸市消防局の協力を得て、市民の声を聞くため、東灘消防署と尼崎間で約5年間の走行テストを行いました。後に東京消防庁での研究・規格化を経、また、運輸省(現国土交通省)においても保安基準で救急車用サイレンと認められ、「ピーポーサイレン」は全国採用となりました。 今では「救急車」という言葉を知らない小さな子供でも「ピーポーピーポーが来た!」というくらい「ピーポー」は親しみのある言葉ですが、これは上岡会長が開発の段階で、その音色から連想して命名したものです。 |
救急車でも消防車でもパトカーでも、そのサイレンは本来、大音量で周囲の車両や人々に、その存在や接近を知らせ、警告するものです。しかしその反面、消防署周辺や、深夜の住宅地などの人々にとっては、時にそれが騒音公害となります。特に出動回数の多い救急車のサイレンにおいては度々問題となります。 しかし緊急車用サイレンの音量は保安基準により定められており、その音量以下では緊急走行ができません。 「住宅モード」とは、サイレンの音質に着目し、ピーポーサイレンの音色を損なわず音量も最低限確保した上で、その周波数等を調整し、耳障りな音が少なくソフトな音質のサイレンを鳴らす機能です。 消防署からの出動時や閑静な住宅地・夜間の走行など、地域や状況に応じて、「住宅モード」サイレンで走行する事により、周囲環境に優しく、さらに搭乗者にも優しい救急活動を実現できます。 |